News
最新の活動報告

3度目の登壇!2024年度神奈川県情報部会(実践事例報告会)を振り返る

記事の概要

2024年12月26日、神奈川県高等学校教科研究会主催のイベント「実践事例報告会」に、一般社団法人ミラパブが参加しました!
 
こちらの会は、毎年全国より教育関係者の方々200名以上が参加されている、教育系の学会です。具体的には、毎年全国より様々な情報科教員の方々がそれぞれの授業実践の事例を共有する会であり、参加するすべての教育者が互いの知見を共有し合える、建設的な事例共有のイベントとなっています。

私たちは2022年から毎年事例報告に携わらせていただいているのですが、今年はオンラインだけではなくオフラインでの会場も上鶴間高校にて用意され、現地での教育関係者の方々との交流が楽しめる会となりました!

この記事では、私達がそのような格式高いイベントにどのような授業事例を共有したのかについて、画像等を交えながらご紹介いたします。このイベントに興味を持たれた教育関係者の方々にとって、こちらの記事が何らかの参考になれば幸いです。

タイムスケジュールの概略

当日のタイムスケジュールは、こちらの通りです。

9:00 ~ 9:10:オープニング
9:10 ~ 10:30:動画発表の視聴時間
10:30 ~ 11:25:オンデマンド発表者との座談会(私たちが登壇しました!)
11:30 ~ 13:00:ランチミーティング
13:10 ~ 15:40:ポスターセッション
15:40 ~ 16:40:クロージング

当日の現地会場の様子。オンライン参加者が過半数を占めるが、
一方で現地参加者も30名以上見受けられた。

以下に、それぞれのセクションを簡単に説明します。
オープニング:運営者の方々が、今回の会の概観を手短に語りました。
動画発表の視聴時間:事前に撮影した動画の視聴を通じて、全国の教育者の実践事例を学ぶ時間でした。私たちもこの形式で実践事例の共有に臨みました。
オンデマンド発表者との座談会:動画を共有された登壇者達に対する感想、質疑応答の時間でした。今年は授業実施者のもりくらげが、横浜総合高等学校の先生方と共に質疑応答に対応した次第です。
ランチミーティング:
昼食をとりつつ、他の参加者と対談を楽しめる時間です。オフラインの会場があったのもあって、今回は現地参加者との交流も楽しめました。
ポスターセッション:事前に作成したポスターと当日のプレゼンテーションを通じて、全国の教育者の実践事例を学ぶ時間でした。
クロージング:文部科学省と関わりのある方や、神奈川県教育委員会の方等要職の方々より、今回の会の総評がなされました。

教員の方との共同発表について

当団体の技術系メンターであり、
授業支援者のもりくらげ。

今年度は、横浜総合高等学校の呉先生と共同発表という形で、情報の授業におけるUnityの活用をテーマに事例発表を行いました。

私たちミラパブは、同校において今年5月より、無料で使える本格的なゲームエンジンのUnityを活用して、「創造的能力の向上」「論理的思考力の向上」「技術への親しみの向上」の3つを達成することに主眼を置いた授業を支援しています。ゲーム制作を通じて情報技術を学ぶ試みは定番ですが、ネットに挙がっている教材だと説明が不足していたり、先生方がそれに沿った生徒の方のサポートを上手く行う事に苦戦されたりすることもあります。

そこで今年度は、同校に現役ゲームプログラマーのもりくらげを派遣し、必要に応じて教材からオーダーメイドで作成したり、生徒を対面で支援したりすることも踏まえた付きっきりの支援を展開し、授業の質のさらなる向上を狙いました。


より詳細なお話をすると、まず前期はUnityさんが提供しているUnityLearnのチュートリアルで、玉転がしゲームを作らせていました。 これはUnity公式サイトに掲載されている資料と動画をなぞる形で、VisualScriptingの基本を学ぶというものでした。勿論単にネットの教材をなぞるだけではなく、疑問点や行き詰まった所があればそこに答えていくという形で授業を支援していました。またチュートリアル終了後の生徒の方々には、現役のゲームプログラマーの知見を活かしたアドバイスを踏まえて、自主的なステージ制作やギミック作成に取り組んでいただきました。


後期授業では、私たちの方で生徒の方々のレベル感に合わせたオーダーメイドの教材を用意して、より発展的な内容を提示しています。紹介すると、前期で作成した玉転がしをより面白くするための知識と技術を教えた後、格闘ゲームの自主製作という、情報科の生徒でも苦戦しうる最終課題に取り組んでもらっています。課題内容がゲームの中でも制作が難しい格闘ゲーム制作であることや、生徒の自主性に制作活動の多くがゆだねられていることから技術的にも、創造的にも難易度は中々高いのですが、驚くことに現時点(2024年12月時点)で格闘ゲームを一通り完成させ、自分なりのモーション製作も楽しんでいる生徒の方も現れています。

タイピングですら苦手と感じられている方も一定数いた状況から、半年程度で格闘ゲームを自主製作できる方が現れる状況に。このような話題性もあって、発表当日は共同発表者である横浜総合高校の先生からも「本職の外部の人の活用、良いです!」とのお言葉を頂き、また他の先生の方からも「ゲーム好きな生徒とも話が合うプログラマーの方を呼ぶのは、生徒とのフレンドリーな関係、そこからのモチベーションにもつながるだろうから、興味深い事例だと思いました!」との声を頂くことができました。
もちろんこのような事例が生じたのは、授業準備の一環で私たちに声をかける勇気を発揮してくれた先生方のおかげであり、生徒の方の可能性を信じ抜き毎週授業を行い続けたもりくらげのおかげであり、また教え手の情熱に感化され、自分で技術を使って物を創り、その物を通じて誰かを喜ばせる事のすばらしさに目覚めてくれた生徒の方のおかげでもあります。故に私たちは、この奇跡と関係者のすべての方々に、感謝の念を表します。こちらの章で紹介した共同発表について、より詳細な内容を知りたい方は、以下のリンクより発表動画をご覧ください。

「私たち」以外の素晴らしさについて

ここまででは私たちの発表の事例を述べてきましたが、実践事例報告会は毎年ユニークな事例が共有されていまして、どの方の話も面白いものばかりです。中には名だたる大学の教員の方含めた複数人のチームで行った、科研費がでる研究の発表まであり、今年も学会に近い雰囲気が楽しめる会となりました。そこでこちらの章では、私たち以外の発表についても少しふれさせていただきます。特に来年以降実践事例報告会に参加してみたい教員の方には、参考になるかもしれません!

ポスター発表について:
私たちが行った動画形式の発表とは別に、ポスター発表というものもあります。これは所謂ポスターやスライドを元に、登壇者が直接その場で話すという形での知見共有です。この発表形式にはその場で登壇者に直接質問することが取り組みやすいという利点があり、実際ミラパブのスタッフも5回ほど、様々な方に質問させていただき、答えていただくことができました!

ポスター発表のタイトル一覧。


今年の印象としては、生成AIを活かした発表が多かったなというのが素直なところです。
遂に人間が機械に負けるのか!と教育の世界では恐れが広がっている印象がありますが、逆の見方をすれば、今の機械が特段凄いことをしているわけではなくて、これまでの教育が機械にできるくらい単純なことばかりを教えてきたという面もあるのではないかと思います(これまでにおいてはそれが最善だったと思いますし、それを教える事すら難しいことは承知の上です)。これからの教育においては、例えば成果物を評価するのではなくて制作過程を評価するコンテストや、人にしか紡げない物語(その人の人生)を踏まえて生徒の人生設計の相談にのるなど、人の先生がなすべきことと、機械に任せた方がいいことを見分ける力、あるいはそれを教員側に解説する教育指導要領が大切になってくるのでしょう。

文科省の方等による最終講演について:
発表や登壇を行うのは、教員の方だけではありません。イベントの最後では 文部科学省の田崎調査官や、神奈川県教育委員会の教育局指導部高校教育課指導主事の方々など、日本の教育界のトップの方々も講演し、例年通り品位と自由闊達が両立したイベントとなりました。

田崎調査官による講演資料(一般公開済み)。
我々のような団体はもちろんだが、
文部科学省の今後のご活躍にも、期待したいところである。

文部科学省の方による講演の中では、DXハイスクールの更なる推進や外部人材を活用することの重要性などについても触れられ、先生たちがただ頑張るだけではなくて、国と連携しての活動や、企業や外部団体の力を借りて、色々な分野の人たちと助け合いながら教育の質を上げていく事の重要性が語られました。

他にも、ここにはあまり書けない事ですがランチタイムの際の個人的な教員の方との愉快な交流や、イベント後の懇親会における、教員の方や文科省の方との腹を割った談笑など、教育関係者の方にとっては実に学びになることが多いイベントだったなと感じた次第です。

総評:5回目となる教育系イベントの参加を受けて

講演終了後、運営サイドの教員の方々がお別れの手を振る様子。
とても激務続きの年末の中にいるとは思えない元気さであり、
青春の顔で会を盛り上げる彼らには、脱帽しかない。

 
以上のようにして、2024年度の実践事例報告会は幕を閉じました。

今年度も、教員ではない私たちミラパブの発表の関与に理解を示してくださった神奈川県情報部会の皆様、そして実践事例報告会を共に形作ってくれた他の登壇者の方々には、敬意と感謝を表します。今回の発表実績もさらに踏まえて、2025年のミラパブは、今年以上に公的な教育機関の支援を、授業開催だけにとどまらず展開していく所存です、今後の活動に乞うご期待ください。そしてこの記事を読んで、当団体の無償での学校の授業支援に関心を持たれた教員の方は、お気兼ねなくミラパブへの授業依頼を以下のページより検討してみてください。

一覧へ戻る

Join Usコミュニティへの参加について

   

ミラパブでは、中高生の年齢の方限定の無料オンラインコミュニティを運営しています。
自分の生き方を見つけたい方はぜひ遊びに来てください。